大田区のART FACTORY城南島は、貸しアトリエや、手作りワークショップ会場の提供など、アーティストの活動支援や芸術文化振興を目的とする施設。
画家、彫刻家、ジオラマ作家、写真家など、さまざまなアーティストが入居しています。ここで活動するひとり、まんなか先輩世代のトンボ玉作家・講師の手島由里子さんにお話を聞きました。

勤めていた会社の仕事に行き詰まりを感じていたき、知人から講師の誘いが

手島さんは、もともとはOLでしたが、41歳のときに現職に転身。

現在は地方新聞の東京支社でアシスタントして働きながら、トンボ玉の制作・講師をしています。

teji「30頭から出版の販売担当として会社勤めをしながら、ダンスなどの趣味も楽しんできました。トンボ玉との出会いは30台半ば。友人の紹介で習うようになりましたが、なかなか上達しないし、続けて何になるのかなーと考えていたんです。でも、そんなときに知人から『カルチャーセンターで教えてみないか』と誘われて。それが41歳の頃ですね。ちょうど11年続けていた仕事に行き詰まりを感じて、モチベーションも下がって来ていたので思い切って会社を辞めることにしたんです」

予想外の作品ができる、実験的なところが作品づくりの醍醐味

カルチャースクールで教えるようになり、真剣にトンボ玉と向き合うようになると、作品づくりの面白さが増してきました。

「トンボ玉は、ガラスに熱を加えて作るので、予想外の仕上がりになることも多いんです。色の組み合わせなどを考えて、きれいにできるかなとやってみたら、案外だめだったり。反対に想像していなかった色が出てうれしかったり。実験みたいな感じですね」

 トンボ玉は、細かい模様のついたガラス玉で、穴があいている。ネックレスやかんざしなどのアクセサリーのパーツとして用いられることが多い。


トンボ玉は、細かい模様のついたガラス玉で、穴があいている。ネックレスやかんざしなどのアクセサリーのパーツとして用いられることが多い。

作品の入ったボックスには、炭酸水にレモンの輪切りが浮かんだ、レモンスカッシュのようなトンボ玉や、立体的ならせん模様を埋め込んだもの、ポップなドット柄など、さまざまな作品が並びます。最近では、アクセサリー作家からのオーダーも受けるようになったとか。

日頃から美術館に足を運んだり、美しいアクセサリーの写真集などを見て、インスパイアされることも意識しているそうです。もともと細かい作業が好きだったこともあり、作品づくりは楽しくて仕方がないといった雰囲気。一方、たくさんの生徒さんを抱えるスクール講師の仕事には、個々の要望に応じた教え方が難しいと感じることもあったそうですが、手探りしながら、肩の力を抜いて、楽しんで教えられるようになってきたそうです。

40代は失敗しても、まだ立ち直れる年齢。流れに乗ってみることも大切かも。

趣味と実益を兼ねた仕事を楽しみ、自分らしく生きている手島さん。まんなか世代からの転身は、勇気がいったと思いますが。

「私の場合、会社をやめたいと思っていた時に、ちょうど講師の誘いが来て、タイミングが重なったことが大きいですね。あと40代って、失敗しても、まだ立ち直れる年齢。自分が『行け!』と言われているのかなーと感じるものがあれば、流れに乗ってみることも大切かもしれません」