「ハーブ=ハーブティー」というイメージが強いと思いますが、ハーブの活用方法はほかにもたくさんあります。その1つがハーブチンキ。ハーブチンキとは、ハーブの成分をアルコールで抽出した液剤です。
以前、植物油にハーブを漬け込んで漉して作る「浸出油」を紹介しましたが、チンキの場合は植物油の代わりにアルコールを使って成分を抽出します。ハーブには多種多様な成分が含まれていますが、浸出油の場合は脂溶性の成分、チンキの場合は水溶性と脂溶性の両方の成分が抽出されます。 このようにハーブに含まれる成分の性質とそれに合った抽出方法を知っていれば、ハーブのパワーを無駄なく引き出すことができまます。
チンキのいいところは、水溶性の成分はもちろんのこと、ハーブティーでは十分に出てこない脂溶性の成分も抽出できることです。また、ウォッカのように飲用可能なアルコールを使用すれば、内用と外用のどちらでも使えて便利です。
香りの面では、精油が入手困難なリンデンや、高級で手を出しにくいローズ、メリッサ、月桃などの精油の代わりにもなります。もちろん精油と同じ香りにはなりませんが、基材として用いると奥行きのある香りを演出してくれます。
今回は香りのいいハーブを使って、スキンケア向きのチンキを作ります。
◎材料
ハーブティー用のハーブ(ローズ、ラベンダー、ジャーマンカモミール、リンデン) | 10g |
ウォッカ(40度以上) | 100ml |
◎作り方
① ハーブが合計で10gになるように調節します。おおよその目安は下記のとおりです。
・ジャーマンカモミール 小さじ2
・ローズ 小さじ2
・ラベンダー 小さじ1
・リンデン 小さじ1
② ハーブが大きければ、ミルやすり鉢などで細かくします。紅茶くらいの大きさが目安です。抹茶くらいまで細かくしすぎないように注意してください。
③ 消毒済みの広口のガラス瓶にハーブを入れ、ウォッカを注ぎます。雑菌の繁殖を防ぐため、ハーブが完全に浸かるようにウォッカの量は適宜調整してください。
④ フタをして日の当たる場所に2週間置きます。付箋に2週間後の日付を入れて、ビンに貼り付けておくとよいでしょう。 ハーブとウォッカがなじむように、1日1回、ガラス瓶を振ります。
⑤ 2週間経ったら、コーヒーフィルタやティーストレーナーで漉して、別の保存用ガラス瓶に移します。スポイト付きのものがオススメです。 作成した日付をラベルに記入してビンに貼っておきましょう。
保存は冷蔵庫で。1年以内に使い切りましょう。
次に、このチンキを使ったフェイスローションの作り方です。精油を加えなくても、スキンケアによい成分が含まれているローションになります。ハーブチンキを使ったローションは、無水エタノールを使ったときよりも香りに厚みと複雑さが感じられると思います。
◎材料
ハーブチンキ | 5ml |
精製水 | 20ml |
ラベンダー精油 | 2滴 (入れなくても可) |
ローションを保存する容器にチンキ、精油の順を入れ、軽く振ってから精製水を加えます。
使うときは軽く振ります。保存は冷蔵庫で。2週間くらいで使い切りましょう。
ジャーマンカモミールとラベンダーには抗炎症作用・鎮静作用があり、肌荒れのときに味方になってくれます。リンデンのとろりとした粘液質には保湿作用があります。ローズには収れん作用があります。今回は欲張って4種類のハーブを使いましたが、もちろん1種類でも2種類でもOKです。ただし、ラベンダーは結構キツイ香りになりますので、控えめにすることをオススメします。
精油だけで作るローションも香り高くていいものですが、濃度を0.5〜1%とすることを考えると、あまりたくさんの種類を使うわけにはいきません。その点、ハーブは数種類を一緒に使っても体への刺激も精油より少なく、なおかつそれぞれのハーブが持つ成分の相乗効果が期待できます。
次回は内服用のチンキをご紹介します。