わが家では晩春から初夏にかけて毎年恒例の行事がある。
たくさん野菜苗を買って、プランターに植えるのだ。
種類はほぼ決まっている。
ミニトマト
大葉
ナス
ピーマン
きゅうり
コリアンダー
が定番だ。
そこに気分でスイカや枝豆やカボチャやハーブなどが加わる。
プランター菜園を始めたのは私だが、はまったのは夫。
それから、夫の唯一の趣味としてほぼ任せている。
彼は、最初は園芸番組を録画して、基礎を一生懸命学んでいたようだが、コツを掴んだのか最近は自由にやっている。
初夏から秋にかけて野菜が採れるということは、お財布にも優しいし、何より美味しくて嬉しい。
酢の物、マリネ、サラダ、炒め物…。
自然の恵みを自宅で収穫して食べるのは何とも豊かな気持ちになる。
夫は庭の切った黒竹などを利用して、器用に柵や枠を組んでいく。
なんというか、私が適当に作るのに対して彼はキッチリキッチリ、何事もキッチリ作っていく。
キッチリ作る夫の野菜はキュッとしていて味も模範的で普通に美味しい。
対して私がテキトーに作る野菜は大ぶり小ぶりが混ざっていて、みずみずしく美味しいものと、極端なハズレがある。
作る人の性格が野菜にも影響するのだろうか。
まあ、そうでしょうね。
彼は適量の水をやり、私はドバドバ水をやってしまうのだから。
個性が出るのもまた楽しいものだ。
今年はいつも買うコリアンダーの数を増やすつもりだ。
コリアンダーは手でむしって、洗ってそのままムシャムシャ食べる。
解毒作用があるからね。
解毒したいお年頃だから。
青虫さんや、小さなアマガエルの赤ちゃんなどとの出会いは、感動と驚愕で心臓がバクバクする。
だんだんそんなことにも慣れてくるが。
植えた苗からつるが伸びて、毎日ぐんぐん育っていくのを見るのは楽しい。
なんていうか土をいじって野菜を収穫するということは、予想を超える充実感をもたらすのだ。
自然と同化する感覚というか。
生きてるか?生きてるぞ!
では、美味しくお命いただきます、的な。
プランターセラピーとでも言うのか。
いつのまにか野菜に話しかけるようにもなっているし。
何せほんとに無農薬だから。
ピュアな野菜なのだ。
私の方が薬やらサプリやらで添加物が多い(笑)。
コリアンダー、つまりパクチーをドカベンのイワキのように口にくわえながら、今年も猛暑を乗り切ろうと思う。