先日、若冲展に行った。
と、さらっと言えば、ああそうですか、ということなのだが。
ウツになって3年目。
順調に回復しているとはいえ、自分の生活圏から(車だから広いけれど)出ていなかった私だ。大丈夫か?
遠出は久しぶりだ。
愉しみ半分緊張半分だった。
小・中学校と若冲についてのレポートをまとめたことのある娘はちょっとした若冲博士。
「若冲!観たい!」というので連れて行くことにした。
娘はウキウキが極まって、「しおり」を作った。無邪気だ。そのしおりの「目的」(笑)欄に、
「美味しいものを、たんのうする」、
「都会を満喫する」
とあった。満喫は書けても堪能は書けなかったらしいが、その欄の片隅に、「作品をよく見る」と小さくあった。
これは、若冲だけというわけにはいかない。都会を満喫させなくては、とプレッシャーを感じた(笑)。
東京丸の内あたりをぶらついて、東京駅と高層ビル群のコントラストを見せればいいか、と思い、新丸ビルあたりでランチをしようと計画した。
当日、無情にも雨。
それでも久しぶりの高速バスにワクワクした。
そう、おらが街からは上野→東京駅→新宿へと直通バスが通っている。
東京に住んでいた頃は重宝したものだ。
久しぶりの上野の森。
よく1人で国立博物館に美術品を眺めに行ったっけ。
公園口の混雑は相変わらず。
ゴールデンウィーク直前とカラヴァッジョ展もやっているのでかなりの人出だった。
若冲展は長蛇の列だった。
雨の中外で50分、中で20分待った。
客の平均年齢はかなり高い。
見渡す限り子供は娘だけだった。
やっと入場できたが、人、人、人のごった返しで、作品に近づくことが難しい。
シニアパワーに負けそうだった。
あまりに身動きがとれないので、小品は泣く泣くスルーすることにした。
お目当の作品群は素晴らしかった。
若冲の作品は線が緻密で、細かく描くことを楽しんでいるようだった。
それでいて構図は大胆。
軸から世界が漏れ出て、広がっていくようだった。
娘のお気に入りは、「百犬図」。
全面仔犬だらけで、とても可愛い。
しかし人の多さで疲れてしまって早々にグッズを買い求めに。
するとまた半端じゃない人の渦。
購買意欲を削がれ、上野の森をあとにした。
久々の山手線。こんなに揺れたっけ?と思いながら東京駅で下車。
丸の内口へ出た。
外へ出て、「ご飯を食べるのはあのビルだよ。でもその前に後ろを振り返ってみなよ。東京駅がキレイだよ」と私。
娘はおもむろに振り返って
「わーお!キレイだね。都会だー!」と喜んだ。
ピザが食べたいというので、デリツィオーゾ・フィレンツェという店へ。
外国人が多くいて、国際的な雰囲気の中、
生ハムのサラダ、5種の前菜盛り合わせ、マルゲリータ、クワトロ・フォルマッジ、ブラッドオレンジジュースを食べたり飲んだり。
娘がバクバク食べるのを見て、なんだか疲れがふっとんだ。
それから新丸ビル、丸ビルの中をぶらついて、奮発して千疋屋でフルーツを食べたりした。
いい感じで美味しいものを堪能させ、都会を満喫させた?ところで、帰りの高速バス乗り場へ移動。
八重洲口は遠かった。
途中、これが楽しみだったのだが、大丸のお弁当コーナーで夕食を購入。
娘は海鮮弁当、私は大好きな弁松総本店の蛸飯弁当を買った。
そして無事帰途に着いた。
が、しかし!
恐ろしいことは次の日に起きた。
全身が筋肉痛で動けない。
何故か肋骨まで痛い。
泣きそうになった。
日頃の運動不足と筋弛緩剤に逆らって歩き続けたせいだ。
痛くて痛くてロキソニンと湿布のお世話になった。
娘は平気そうだ。
羨ましい。
回復まで3日かかってしまった。
久しぶりの都会の代償は全身の痛みだったが、娘と行った若冲展と丸の内プチ旅行は一生の思い出になった、とさ。