アロマを始めてから、香りに対する意識が高くなりました。実際、嗅覚が少なからず鍛えられている感があります。
今回のコラムは「嫌いな香り」についてです。アロマをやっているおかげで、いいこともあれば、苦手な臭いでイヤな気持ちになることもあります。たばこ嫌いな私としては、電車に乗っているときにたばこ臭い人が隣に来ると、とても嫌な気分になります。
そんな具合に、誰にでも好きな香りと嫌いな香りがあると思います。
私が好きな香りの精油は、ネロリ、ベルガモット、ラベンダー、ペパーミントといったところ。逆に苦手なのは、カモミールジャーマン、イランイラン、ジャスミン、ベンゾイン、サイプレス。若い頃はローズもダメでした。
イランイラン、ジャスミンは濃厚過ぎ、ベンゾインは甘過ぎ、サイプレスはカビ臭を感じる、そして、カモミールジャーマンは薬っぽさとなんとも言えないえぐみが苦手です。
できれば好きな香りの精油だけで済ませたいですが、苦手な精油が持つ性質を活かしたいことは、ままあります。前述の中では、ブルーインクのような青い色が特徴であるカモミールジャーマンを、どうにか使いこなしたいと考えていました。
カモミールティーでお馴染みのカモミールジャーマン。ティーだと「リンゴのような香り」と表現されますが、精油にはリンゴらしさが微塵もありません。同じカモミールでも、カモミールローマンの精油はリンゴのような甘い香りがします(なので、こちらは好きです)。
カモミールジャーマンの青色はカマズレンという成分によるもので、同じキク科のヤローもカマズレンが含まれていることから青い色をしています(青くない精油もあるようです)。
そんなカモミールジャーマンに対して期待するのは抗炎症作用です。青色のもとになるカマズレンは、カモミールに含まれるマトリシンという成分が水蒸気蒸留法で精油を採取する際に変化した物質です。このカマズレンには、殺菌・抗炎症作用があります。
今回は、カモミールジャーマンの抗炎症作用を活かしたハンドクリームを作ります。この精油と相性がいいのは何か、試行錯誤を重ねてたどり着いたのは、「こうなったら、とことん薬っぽくしてやろう」というアイデア。そして、できたのが今回のレシピです。
◎手荒れ対策のハンドクリーム
シアバター | 2g |
ミツロウ | 2g |
スイートアーモンド油 | 20ml |
精油(各1滴) | ・カモミールジャーマン ・ユーカリラジアータ ・ペパーミント ・ラベンダー |
※カモミールジャーマンはキク科の植物ですので、キク科アレルギーの方は注意してください。
作り方はいつものクリームと同じ。スイートアーモンド油とシアバター、ミツロウを耐熱容器に入れて湯煎にかけます。シアバターとミツロウが完全に溶けたら湯煎からおろし、精油を加えて混ぜます。固まらないうちに保存容器に移したらできあがりです。計量から完成まで、所要時間は約10分。超絶簡単です。
クリームは1ヵ月程度で使い切りましょう。雑菌繁殖を防ぐため、使用時はスパチュラなどを使うことをおすすめします。
そして問題の色。ほんのわずかに青みがかりましたが、青い色を出そうとするならもっと大量の精油が必要になります。そうなると臭いに耐えられそうにありません……。今回は精製されていないミツロウを使いましたが、精製された白色のミツロウを使うと、青みがもう少しわかりやすいかもしれません。
香りは、クリームを手に塗った瞬間、甘めで少しジューシーな感じがします。しばらくすると、残り香が薬っぽくなってきて、なんとも微妙です。許容範囲内ではありますが、またこのブレンドで作るかどうかといわれると、進んで作ることはないと思います(苦笑)。
今回の試みから、苦手な香りの使い途を探求するおもしろさ、香りの意外性と発想の転換みたいなことを知ることができたと思います。みなさんも、アロマテラピーの楽しみ方の1つとして苦手な香りに対するアイデアを考えてみてはいかがですか?