私は、アロマテラピーを始めてから匂いに対する意識が高くなりました。雨上がりの遊歩道の緑濃い匂い、カレー屋さんの近くから香ってくるスパイスの匂いなど、普段は見過ごしがちことを感じられるようになり、日常に何かがプラスアルファされたような気がしています。そして、自分の好きな香りをかいだときには、気持ちが明るくなったり、ほっとしたり、やる気が起きたり、プラスの感情が働きます。

しかし困ったことに、嫌な匂いにも敏感になってしまいました。たとえば、たばこの匂いは元々嫌いでしたが、電車の中で2、3席離れた場所に座っている人のたばこの匂いまでわかってしまいます。当然、嫌いな匂いにはマイナスの感情が働きます。

このように、モノの匂いとヒトの感情の動きの間には強いつながりがあります。人間の五感(味覚・嗅覚・視覚・聴覚・触覚)のうち、嗅覚は「原始的で無意識な感覚」といわれています。たとえば、私達は物を食べるときに、もし腐敗臭がしていたら本能的にそれを遠ざけ、口に入れません。ヒトはこうした行動を本能的に無意識のうちに行っています。そして、そのおかげで自分にとって害となるものから身を守ることができるわけです。

アロマテラピーは、まさに嗅覚のこの特性を生かしたセラピーです。香りによって、人の感情は無意識のうちに変化が起き、心が動かされます。心の不調が原因で元気がなくなったときに、好きな香りが身近にあればハッピーな気持ちになり、「この香りが私を守ってくれている」と感じて元気を取り戻すことができるでしょう。現代人は五感を忘れがちですが、自分自身に生来備わっている感覚や感性を信じることも時には必要でしょう。

今回は、持ち運びにも便利な練り香をご紹介します。自分の好きな香りを身につけて、いつもハッピーな気持ちでいられると素敵ですね。

作り方の前に、まずは練り香について。材料に使うミツロウは、ミツバチが巣を作るときに出す分泌液からできている動物性ロウです。保湿性・抗菌性に優れ、アロマテラピーではハンドクリーム、リップクリームのような軟膏の基材として使います。練り香は、香水の水分の代わりにミツロウと植物油を用いて軟膏状にしたフレグランスです。ハンドクリームやリップクリームの場合は精油の濃度を0.5%〜1%にしますが、練り香は5〜10%程度の濃度にします。つまり、濃度を変えるだけで、同じ材料でも軟膏にも練り香にもできるというわけです。

フレグランスを作るときは、精油の種類と滴数、香りの印象を記録しておくことをお勧めします。精油のブレンドはとても奥が深く、最初はなかなか思ったような香りにならないことも珍しくありません。逆に、意外性のある新たな香りと出会えることもあります。また、ブレンドした精油は時間の経過に伴って香りが変化していきます。ですので、1日後、1週間後の香りの印象もあわせて記録するとよいでしょう。いくつかブレンドサンプルを挙げましたので参考にしてみてください。

レシピ(できあがり10g、濃度5%)

ミツロウ 2g
ホホバ油 8ml
精油 10滴
容量10gのクリーム容器
湯煎用の鍋

 

①ブレンドする精油を選択しておきます。
②ホホバ油8mlをビーカーに入れ、その中にミツロウを入れます。ビーカーを湯煎にかけると、ミツロウが自然に溶けてきます。
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③竹串などで混ぜて、完全に液体状になるまで溶かします。
④湯煎から外して少し混ぜ、オイルが固まらないうちに精油を加えます。
⑤オイルと精油を混ぜ、オイルが固まらないうちに容器に流し込みます。
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オイルを湯煎から下ろしてから素早く精油を加えられるように、あらかじめ精油を準備しておくことがコツです。精油は引火性ですので、火の元から離れた場所に置いてください。また、湯煎するときは火傷に注意してください。

ブレンドレシピ(数字は滴数)

フローラル イランイラン(2)、ラベンダー(2)、ゼラニウム(4)、パチュリー(2)
グリーンシトラス ベルガモット(3)、オレンジ(3)、マンダリン(2)、マージョラム(2)
ウッディ ジュニパー(3)、シダーウッド(2)、ホーリーフ(3)、ベチパー(2)
ナチュラル ローズマリー(4)、マージョラム(2)、ラベンダー(2)、ゼラニウム(2)

 

精油のフレグランス作りはとても奥が深い世界です。試行錯誤とトライアンドエラーの繰り返しですが、その過程には思わぬ発見もあります。フレグランス作りについては、いずれまたご紹介したいと思います。